ライブリバント®とラズクルーズ®の併用療法で注意すべき副作用
ライブリバント®及び/又はラズクルーズ®の副作用のうち、注意が必要なものをご紹介します。
副作用に早く気づくためにも、主な症状を知っておきましょう。
① 間質性肺疾患
間質性肺疾患は、お薬によって肺の細胞が傷ついて起こる肺の炎症です。主な症状は、階段をのぼったときなどに起こる息切れや息苦しさ、からぜき、発熱など、風邪に似た症状があらわれることがあります。間質性肺疾患は、症状によって日常生活に支障をきたしたり、さらに進行すると重症化したりすることもありますので、速やかな対処が必要となります。
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以下のような症状がみられたときは、風邪の症状と思い込まずに
すぐに主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
② 静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)(監修:大阪がん循環器病予防センター 向井幹夫 先生)
静脈血栓塞栓症は、血管(静脈)の中に血のかたまり(血栓)ができて、血管をふさいでしまう病気です。病気には主に次の二つがあります。
肺塞栓症:足でできた血栓が肺まで流れてきて、肺の血管をつまらせます。急に呼吸が苦しくなったり、胸が痛くなったりします。
深部静脈血栓症:足の静脈に血栓ができて足の腫れやむくみが生じたり、痛くなったり、熱をもったりします。足の腫れやむくみは片足だけにみられる場合もあります。
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以下のような症状で少しでも体に違和感を感じたら、
主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
- 静脈血栓塞栓症について
ご注意いただきたい点 - 血栓が肺につまると命にかかわることがあります。少しでも気になる症状がある場合、すぐに(当日中に)医療機関に連絡してください。
- 深部静脈血栓症では体液貯留(末梢性浮腫)と同じように足がむくむことがありますが対処法が異なりますので、医師による適切な診断が必要です。末梢性浮腫だと思い込んで足のマッサージや運動などを行うと、血栓があった場合に肺に飛んで、肺の血管をつまらせてしまう恐れがあります。医師の診断を受けるまで、自己判断による対処は控えてください。
- 予防について
- 医師の指示に従い、ライブリバント®とラズクルーズ®の併用療法開始後4ヵ月間は、静脈血栓塞栓症の発症を抑える目的で「抗凝固薬:アピキサバン(1回2.5mg)」を1日2回服用してください。
- 「抗凝固薬:アピキサバン」を服用中に、出血(はぐきからの出血、鼻血、皮下出血(あおあざ)など)の症状がありましたら、医師にご相談ください。
③ 動脈血栓塞栓症(どうみゃくけっせんそくせんしょう)
動脈血栓塞栓症は、心臓から全身に血液を送る動脈(血管)の中に血のかたまり(血栓)ができて、血管をふさいでしまう病気です。病気には主に次の二つがあります。
心筋梗塞:心臓に栄養をおくる血管(冠状動脈)が血栓によってつまり、心臓の組織が壊れてしまう病気です。
脳梗塞:脳にある血管が血栓によってつまり、脳の組織の一部が壊れてしまう病気です。
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以下のような症状で少しでも体に違和感を感じたら、
主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
- 動脈血栓塞栓症について
ご注意いただきたい点 - 血栓が動脈につまると、命にかかわることがあります。少しでも気になる症状があれば、すぐに(当日中に)医療機関に連絡してください。
④ 重度の皮膚障害
発疹・ざ瘡様(そうよう)皮膚炎・皮膚の乾燥
発疹やざ瘡様皮膚炎(ニキビのような吹き出物)、皮膚の乾燥など、皮膚症状があらわれることがあります。
主な症状は、皮膚の赤みや、皮膚の膨らみや腫れなどです。皮膚が乾燥すると、皮膚の表面に粉がふいて剥がれることもあります。
ときにかゆみや痛みを伴うことがあり、また赤みが広がり、亀裂が入るなど見た目に影響することもあります。
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日ごろから皮膚の状態をチェックし、以下のような症状がみられたときは、
主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
- 皮膚の症状を防ぐため、軽減する
ために、患者さんご自身でできること - 保清:皮膚を清潔に保ちましょう
(洗髪時の頭皮を含めた皮膚の汚れや余分な皮脂をきれいに洗い流すなど)。 - 保湿:皮膚を清潔にした後、できるだけ早く保湿剤を塗布し、皮膚が乾燥することを避けましょう。
- 刺激を避ける:外出時、直接皮膚に直射日光が当たらないようにする、保護が難しい部位は日焼け止め(SPF30以上/PA2+以上)を塗布しましょう。
爪囲炎(そういえん)
物をつかむときや爪が伸びてくるときなど指先が爪への刺激に弱くなり、爪の周りに炎症が起きることがあります。これを爪囲炎とよびます。
軽い爪囲炎では爪の周りが赤く腫れる程度ですが、進行すると強い痛みを伴うこともあり、爪の周りの肉が盛り上がってできたかたまり(肉芽(にくげ)といいます)ができてしまうことがあります。
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日常的に爪の周りの状態を観察し、以下のような症状がみられたときは、
主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
- 爪囲炎を防ぐため、軽減するために、
患者さんご自身でできること - 爪を切るときは以下のことに注意しましょう。
①深爪せず白い部分を残すようにしましょう
②爪の角は爪切りを用いないで、やすりで整えましょう - 指先に負担をかけないためのテーピングの方法もあります(詳しくは医療スタッフにご相談ください)。
⑤ 重度の下痢
下痢は、便の中の水分が過剰になった状態で、一般的に排便の回数が1日3回以上に増加します。下痢が続くと脱水症状を起こしたり、肛門の周りに痛みや炎症が起きたりします。
下痢の症状が重くなると体力を消耗し、心身ともに負担がかかり、日常生活に影響をあたえるため、適切な対処が必要です。
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下痢の症状が長く続いたり、重くなったりしたときには、
すぐに主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
- 下痢の症状を防ぐため、軽減するため
に、患者さんご自身でできること - (主治医の指示に従って)下痢止めを携帯しましょう。
- 下痢により脱水症状を起こさないよう、こまめに水分を補給しましょう。
- おかゆやスープなど消化吸収のよい食事をとるなど、食事のとり方を工夫しましょう(食事のとり方は医療スタッフにも相談しましょう)。
⑥ 肝機能障害
肝臓の機能が障害される「薬物性肝障害」が引き起こされる場合があります。
お薬の代謝(化学変化)は肝臓で行われることが多く、さまざまな代謝産物が肝臓に出現するため、副作用として肝機能障害が起こると考えられています。そのため、定期的に血液検査で肝機能を調べる必要があります。
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以下の症状があらわれたら、主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。
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⑦ 体液貯留
体液貯留は、体の中の水分のバランスがくずれることで起こる手や足のむくみ(末梢性浮腫)です。
低アルブミン血症は、血液の中のアルブミン(たんぱく質の一種)が減ってしまうことで、体の中の水分が滞って、体重増加やむくみを引き起こします。
また、それにより血圧が低下してふらつきが生じたり、進行すると呼吸困難が起こることもあります。そのため、定期的な血液検査が必要です。
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以下のような症状で少しでも体に違和感を感じたら、
主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
- むくみについてご注意いただきたい点
- 急激な体重増加やむくみを感じたときは、ご自身の判断で対処せずに医療スタッフに相談してください。
- お薬の影響によるむくみと判別されるまでは、自己判断による足のマッサージや運動は控えましょう。
- 主治医の先生、医療スタッフから指導された対処法を適切に行いましょう。
⑧ 心不全
心不全とは、心臓になんらかの機能障害(異常)があり、血液を循環させる心臓のポンプ機能が低下した結果、呼吸困難や倦怠感、むくみがあらわれ、それにともない体力が低下する状態をいいます。
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以下のような症状で少しでも体に違和感を感じたら、
主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
⑨ 角膜障害
角膜障害は、一般的に「黒目」とよばれる部分がなんらかの原因で障害されることをいいます。
角膜炎や角膜びらん、角膜混濁などが角膜障害にあたり、視力低下や目の痛み、充血などの症状がみられます。
角膜炎:細菌やウイルスの感染などにより炎症がおきる病気です。
角膜びらん:角膜の表面にある細胞が脱落する(はがれる)病気です。
角膜混濁:角膜が白く濁ったようになる病気です。
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以下のような症状で少しでも目に違和感を感じたら、
主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
⑩ インフュージョン・リアクション
インフュージョン・リアクションは、お薬の注入に伴う反応で、お薬の投与中や、投与終了後24時間以内に起こるアレルギー反応のような症状のことです。
ライブリバント®の投与によって、起こることがあります。
下記のようなさまざまな症状がみられますが、深刻な「インフュージョン・リアクション」の初期症状として「息苦しい」、「ふらつく」などの体調の変化を感じることがあります。速やかな対処が必要になりますので、少しでも体調に変化を感じたら、がまんせず、すぐに医療スタッフにお声がけください。ライブリバント®では、インフュージョン・リアクションは初回(1サイクル目の1日目)に起こることが多く、点滴の終了から、少なくとも24時間は注意が必要です。
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以下のような症状がみられたときは、がまんせずに
すぐに主治医や看護師、薬剤師にご相談ください。 -
- ※インフュージョン・リアクションの発現の状況により、投与をいったん中止する場合もありますが、以後、治療が継続できなくなるわけではありません。
- ※インフュージョン・リアクションの発現の状況により、投与をいったん中止する場合もありますが、以後、治療が継続できなくなるわけではありません。